自然菜園では、一度畝を立てると、それを半永久的に使用します。
しかも、前後作やコンパニオンプランツ(共栄作物)を駆使して、ほとんど土を休ませず、
畝立て以降は原則不耕起で野菜を栽培します。
自然農では草マルチが欠かせず、生えてきた草を地際で刈って、
あたかも草がそこで生を全うしたかのようにその場に横たえます。
それが積み重なって土が露出するのを防ぎ、保湿・保温の効果と、大雨が土壌を荒らしてしまうのを防ぎます。
また、折り重なった草やそこで生を全うした無数の生物の亡骸や排泄物が層となり、
さらにはそこが新たな命の格好の住処となります。
そんな生物たちの生の営みが、土壌に様々なものを補ってくれます。
自然菜園では、畝立てがとても重要な仕事になるのですが、
その一部始終を紹介します。
畝を立てる場所はこんな感じです。
夏場に草を刈り倒すだけの、長い間耕作を放棄された荒れ地です。
そのおかげで、すでにある程度の腐植の層がありますが、
かなりの数のギシギシがしっかりと根をおろしています。
ギシギシは多年性の宿根草で、どれだけ地上部を刈っても、
たとえ根を抜いたとしても、土壌に根の一部が残るだけで発芽してくる根性のある草です。
「雑草魂」という言葉は、多年性の宿根草に由来するのかもしれませんね。
まずは地上部を刈り、
苦労してスコップで掘り起こすと、芋と見紛う、こんなにもたくましい根が現れます。
これはまだ中くらいで、上には上がいます。
ちなみに、あんまりにもギシギシの根がたまってきたので、何かに使えないかと思いネットで調べてみたら、
「根は薬用、若芽は食用」とありました。
が、もちろん店頭に並ぶことはありませんのでご心配なく。
苦労してギシギシを抜いたところで、畝立てに入ります。
まずは畝と畝間の幅を規定し、
生えている草を地際で刈っていきます。
溝を切り、
畝となる場所へ、溝部分の土を上げていきます。
畝上に掘り上げた土塊を丁寧にほぐし、石やゴミを取り除いていきます。
米ぬか、籾殻燻炭を適量補い、薄く鋤き込んで、
鎮圧。
最後に、その場で刈った草や、草が足りない場合は周辺で刈り集めた草を畝上と畝間に敷いて完成。
大の大人が2~3人で取りかかっても、約12m×1m(+畝間)の畝1本立てるのに半日はかかります。
それを、実験用とはいえ5本も立てようとしているのですから、大変です。
3月半ばに畝立てを始めて、空いた日を選んで一日中取り掛かり、半月かかってようやく3本を立て終わりました。
畝立てをした日は、本当によく眠れます。
そして、翌日以降は体が痛いです。
あと2本、がんばります!!
by ナガタ